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台湾大手 EMS によるスタートアップとの連携: 緯創集団(Wistron Group)の事例研究

執筆者 岸本 千佳司
発行年月 2024年 3月
No. 2024-06
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内容紹介

本研究は、台湾における大企業とスタートアップとの連携(CSE)の実情を解明するこ とを課題とする。そのために、台湾の大手電子機器受託製造企業であり、かつ CSE に最も 積極的な大企業の 1 つである「緯創資通(Wistron Corporation)」(以下、緯創と記述)およ びそのグループ企業の事例研究を行う。緯創では 2010 年代半ば頃から既存の ICT 産業の 他に未来 10 年を担う新事業を模索する動きが生じた。元々イノベーション重視の文化を 有しており、かつては社内活動(社内起業家の奨励等)が中心であったが、近年はそれと 並行してスタートアップとの連携により外部の新風を取り入れようとしている。スタート アップへの投資(CVC)は 2010 年から始まっていたが、近年は既存事業からかなり離れた 分野にまで投資対象が拡大している。スタートアップとの協力に当たっては、それに先ん じて会社自身の成長戦略を明確にする必要がある。そして、会社上層部の持続的な支持・ コミットが不可欠である。スタートアップの育成・協力に直接かかわる事業単位では、寛 容の文化を培い持続的で柔軟な取り組みを行う必要がある。この負担を軽くし、また幅広 い支援を提供するために、2015 年にはスタートアップ支援に特化した部門である「新創整 合センター(IIC)」が設立された。加えて、AppWorks や Garage+のような実績のあるアク セラレータと密接に連携することで、有望なチームを探索し易くしている。 キーワード:緯創資通、企業とスタートアップとの連携(CSE)、コーポレート・ベンチャ ーキャピタル(CVC)