
| 執筆者 | 原 英史、黒澤 善行、五島 知佳 |
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| 発行年月 | 2026年 1月 |
| No. | 2026-02 |
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「外国人受入れは財政にプラス」とされがちだ。これは、近年増加している在留外国人の多くは「技術・人文知識・国際業務」(ホワイトカラーの就労資格)、「特定技能」、「技能実習」などの在留資格で2、概して年齢が若く、したがって税・保険料を支払う一方、医療費などはあまりかからないためだ。
しかし、当たり前だが、外国人も年をとる。今は若い外国人が高齢期まで日本で過ごすとすれば、高齢期には税・保険料の貢献はわずかになり、一方で多額の社会保障負担がかかる。そして、日本の現行制度では、就労資格で一定年数在留すれば永住資格を得る可能性があり3、また、実際に永住を希望する外国人は相当比率を占めるのだから4、「外国人も年をとる」ことを想定しなければならない。この場合、トータルで「財政にプラス」になるかどうかは定かではない。
また、外国人は必ずしも若年期に来日するわけではない。中高年になって来日し、そのまま永住に至るケースも少なくない。この場合、税・保険料の負担は十分なされないまま高齢期に入り、医療・介護サービスを1~3割負担(さらに高額療養費など)で受けることになる。「財政にプラス」になるかは疑わしい。
本稿では、外国人が高齢期まで日本で過ごすことを想定して、外国人受入れの財政への影響を推計し、そのうえで講ずべき方策を示す。第一節では推計の枠組み、第二節では分析のために想定する4タイプの外国人、第三節では各タイプの外国人に係る財政への貢献・負荷の推計を示し、第四節で、これに基づき講ずべき方策を示す。
結論を先に言うと、日本人の平均年収を下回る外国人の永住や、中高年になって来日した外国人の永住は、財政にマイナスとなる可能性が高い。
この観点で、現行の外国人受入れ時の制度には欠陥があり、以下の2つの方策を早急に講ずべきだ。
・永住資格の付与は、日本人の平均年収以上の外国人に限るべきだ。一方、人手不足に対応した比較的低年収の外国人の受入れは、期間限定・家族帯同不可とすべきだ。
・また、中高年になって来日する外国人には、平均的な医療・介護給付額の一括負担を求める制度を導入すべきだ。