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本稿は、台湾大学（NTU）に付属する研究センターの1つである「台大創創センター（TEC）」の事例研究である。台湾大学では、2008年の創業者教育の専門コース（「臺大創創學程」）開設以降、スタートアップ・エコシステムの構築が進んでいる。TECは、この創業者教育の延長線上でスタートアップ・チームを支援するために設立された（2014年）。 現在では、初期ステージのチーム向けの「NTU Garage」、より成長したチーム向けの「NTU Accelerator」、スタートアップと中堅・大企業の連携による双方の発展を狙いとする「 NTU Corporate Accelerator」という3つのコアプログラムを運営する。加えて近年、学外者向け創業者教育コース（「創辦人學堂」）を立ち上げ、および独自のエンジェル投資クラブ（「天使投資俱樂部」）をも組織化し、活動の幅を広げている。本稿は、こうしたTECによる台湾大学を核としたスタートアップ・エコシステムの構築・拡大の取り組みを「戦略ストーリー」として描き出し、その全体像を解明する。