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台湾の対外直接投資の空間構造の変化及び周辺諸国への経済影響

Author DAI Erbiao, KO Yu-Ting
Affiliation Asian Growth Research Institute
Date of Publication 2026.3
No. 2025-11
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Contents Introduction

1990年代初頭以降、急速に拡大した台湾の対外直接投資(TOFDI)は、産業構造の高度化、企業競争力の向上、さらに地政学的環境の変化に伴い、その空間構造も徐々に変容してきた。本研究では、TOFDI の空間構造の変化とその影響要因について、1991~2000年(第1期)、2000~2008年(第2期)、2008~2016年(第3期)、2016~2024年(第4期)の4期に区分して実証分析を行った。主な分析結果は以下のとおりである。
(1)投資先国(地域)における中国語環境は、TOFDI の規模に対して、一貫して統計的に有意な正の影響を与えている。
(2)投資先国(地域)の国内総生産(市場規模)も、TOFDI の規模に対して一貫して統計的に有意な正の影響を示しており、とくに米中対立が激化した第4期において、その影響が一層顕著となった。これは、台湾の半導体産業などが、米国や日本をはじめとする西側先進国への投資を大幅に拡大した動きを反映している。
(3)投資先国(地域)の賃金水準は、第1期においてはTOFDIの規模に対して統計的に有意な負の影響を与えていたが、それ以降の時期では統計的に有意な影響を示さなくなった。
(4)第4期では、台湾と投資先国(地域)との物理的距離が、TOFDIの規模に対して統計的に有意な負の影響を与えることが確認された。これは、台湾が東南アジアなど近隣諸国との経済連携を重視する「新南向政策」の効果が現れ始めていることを示唆している。