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恒常所得仮説の共和分検定による検証

執筆者 野村 淳一
発行年月 1998年 4月
No. 1998-05
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内容紹介

本稿は恒常所得仮説の共和分的含意である、消費と所得は共和分関係にあるということを日本のデータを用いて検証したものである。先行研究においては、所得として可処分所得を用い、いくつかの国においてこの共和分関係を否定している。本稿では、所得として純キャピタル・ゲインを含んだ概念であるヒックス流の可処分所得を用い、日本において消費と所得の共和分関係が認められることを示す。本稿においては、恒常所得仮説の共和分的含意を検証するために、様々な純キャピタル・ゲイン、したがって様々なヒックス流の可処分所得を計算している。純キャピタル・ゲインは正味金融資産を取得原価ベースで評価するとき、消費と共和分関係にあると考えられる。共和分分析の結果から判断すると、家計は資産を実現主義ベースで評価しているようである。この結果は、もし資産を時価ベースで評価するならば、消費における資産効果の存在と整合的ではないと思われる。