刊行物
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執筆者 | 野村 淳一 |
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発行年月 | 2001年 7月 |
No. | 2001-16 |
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バブル経済の崩壊後、家計消費は大きく冷え込み、日本経済の長期停滞の大きな要因となっている。家計消費が停滞している原因とされているのは、資産価格の下落による逆資産効果である。しかしながら、家計消費と資産との関係についてはあまり厳密な検証がなされているとは言えない。本稿では、資産効果をより詳細に検討するために、資産価格変動によるキャピタル・ゲインに着目し、キャピタル・ゲインが家計消費とどのような関係にあるかを分析した。その際、時系列分析の手法として近年発展してきた単位根・共和分検定を用い、長期的な関係とその安定性についても検討した。検定の結果、(1)家計の消費行動は恒常所得仮説に従っている、(2)家計消費の決定には実物資産(土地など)からのキャピタル・ゲインはあまり影響を与えていないが金融資産(株式など)からのキャピタル・ゲインは影響を与えている、(3)家計消費とキャピタル・ゲインの長期的関係は1989年に構造変化を経験している、と考えることができる。