刊行物
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執筆者 | 坂本 博, 戴 二彪 |
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発行年月 | 2003年 12月 |
No. | 2003-42 |
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本稿は、急速な経済成長を続けている中国を研究対象に、1980年代後半、90年代前半および後半の3時期における中国省間人口移動パターンの特徴、変容およびその規定要因を検証した。主な分析結果は次の通りである。(1)内陸地域から沿海地域、特に北京、上海、広東を中核とする3大経済圏への移動が加速しつつある。(2)3大経済圏への人口集積は中核から圏内の周辺省へ波及している。(3)このような移動パターンに対して、省間所得格差要因や省間経済成長格差要因を加味した修正重力モデルの説明力が概ね良好である。特に、省間所得格差の影響は3時期のいずれにおいても顕著であり、かつ増大する傾向がある。これらの分析結果は、中国でFDIを中心とする産業集積や地域間経済格差の拡大が続く限り、沿海大都市圏への人口集積は今後も更に進むと示唆している。