刊行物
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執筆者 | 亀山 嘉大 |
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発行年月 | 2009年 6月 |
No. | 2009-18 |
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現在,日本のコンテナ港湾では,基幹航路の寄航便数の減少が続き,トランシップ(積み替え)貨物の取扱量で伸び悩んでおり,日本のコンテナ港湾の国際競争力の低下に警鐘が鳴らされている。1995年以降,日本政府は「選択と集中」の方針に則り,国際海上輸送網の拠点の形成を進めることで,日本のコンテナ港湾の国際競争力の強化に取り組んでいるが,充分な成果は上がっていない。本稿では,日本の国土計画の中で,港湾政策をどのように位置付け,どのように理解していく必要があるのかという問題意識のもと,第1に,日本と韓国の国土計画(港湾政策)を取り上げて,「選択と集中」のあり方を考察した。韓国政府は,日本と同様に,開発計画として地域の均衡発展を目的にした国土計画(交通政策)と経済計画(産業政策)を実施してきた。しかし,日本と韓国の開発計画には,大きな違いがあり,韓国政府が「選択と集中」を実行してきたことを統計データに基づき確認した。これを踏まえて,第2に,環黄海地域におけるポートアライアンスのあり方を考察し,北部九州地域の港湾政策(物流振興)の課題を提示した。北部九州地域としては,自らの港湾政策(物流戦略)は自らで策定していく必要があり,合意形成を急ぐ必要がある。また,個々の地方自治体としては,海事クラスター(の形成)と産業クラスターの融合をはじめとする域内連携を強化していく必要がある。