刊行物
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執筆者 | 坂本 博 |
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発行年月 | 2011年 2月 |
No. | 2011-05 |
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本研究は、地域内の所得格差に対して、格差をなくすために必要な地域内の人口分布について議論する。対象地域は中国の江蘇省で、昨今の経済成長に伴い、省内(市レベルおよび県レベル)の所得格差が完全に消滅するための省内の人口数(分布)を推計する。この「望むべき」人口数を「収束人口」と定義し、収束人口に対する現実の推計人口数との違いを比較し、格差問題の解決の度合いを検証する。結果的には、豊かな地域ほど十分に人口を吸収できておらず、格差問題の解決には程遠いことが判明する。一方、「収束人口」を推計することで将来の人口移動計画を考えることができる。この場合、収束人口と戸籍人口をある比率で組み合わせることで推計することができる。いくつかの事例を紹介するが、収束人口の比率が高くなれば高くなるほど、人口移動が活発でかつ所得格差も縮小傾向となる。