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執筆者 | 戴 二彪 |
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発行年月 | 2015年 3月 |
No. | 2015-09 |
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日本の人口高齢化は,欧米先進国より遅く開始したが,出生率の急低下と長寿化の影響 で,その進行スピードが非常に速い。2013 年に総人口における 65 歳以上の高齢人口の比 率(高齢化率)はすでに 25%を超えており,今までどの国も経験したことのない高い水準 になっている。一方,15~64 歳の生産年齢人口の同比率は,1990 年のピークの 69.5%から 低下しつつある。
地域総人口における生産人口の割合や生産人口の伸び率について,都道府県間の地域格 差が存在している。本稿では,1980 年以降の日本の地域別人口規模と年齢構造の変動を考 察したうえ,47 の都道府県を対象に,10 年ごとのパネルデータ(1980~2010 年)と固定 効果モデルに基づいて,少子高齢化に伴う人口の年齢構造の変動による地域経済成長(一 人当たり域内総生産伸び率)への影響を検証した。分析結果によると,近年の人口の年齢 構造の変化は地域経済成長にマイナスの影響を与えており,日本各地の経済成長率を健全 な水準へ取り戻すためには,少子高齢化対策を真剣に考えなければならない。今後,女性 の労働参加率の向上や高齢者の労働年齢の延長と技能訓練の強化を重視するとともに,い かにして,外国人を含む各種専門人材が働きたい・創業したい・住みたい魅力的な都市・ 地域を作ることが,日本各地および日本全体の経済成長を左右する重要な課題である。