刊行物
PUBLICATIONS
執筆者 | 岸本 千佳司 |
---|---|
発行年月 | 2022年 3月 |
No. | 2022-06 |
ダウンロード | 1554KB |
本研究では,少子高齢化と人手不足への対応として,様々な現場で人に代わって仕事をするロボット(ワークロイドと呼ばれる)の産業としての発展に向けた取り組みを検討する。具体的には,ワークロイド業界団体(の原型)として2021年4月に設立された「一般社団法人ワークロイド・ユーザーズ協会(WorkroidUsersAssociation:WUA)」(WUAは主にロボットのユーザー企業・団体および研究者によって構成される),およびワークロイド企業の先駆者であり中小企業でありながら多種多様なワークロイドの開発・製造実績のある「テムザック(tmsuk)社」の事例を取り上げる。これを通して,ワークロイドのユーザー企業や研究者が考案する同産業の発展に向けた方策,およびロボットメーカー側の経営戦略について詳しく検討する。分析の結果,WUAの掲げるワークロイドの開発思想・開発方式の幾つかの項目は短期的には実効性に疑問があること,そしてワークロイドメーカー自身が,単純にロボット単体を売りさばくようなやり方を超えた有効なビジネスモデルを構築することが業界の本格的な立ち上げにとって不可欠であることが指摘される。