刊行物
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執筆者 | 岸本 千佳司 |
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発行年月 | 2012年 3月 |
No. | 2012-04 |
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中国での大規模生産拠点の構築により主にICT電子産業分野の受託製造業で世界的地位を確立した台湾は,近年,自社ブランドの構築に注力している。本稿は,台湾にとって文化・言語・地理的に近接する中国が,生産拠点として重要な競争力基盤となるだけでなく,本拠地台湾市場の狭小さや政府による強力な支援の欠如という不利な状況を補い,台湾企業のマーケティングの実践的訓練場となり,台湾ブランド構築にとって言わば準国内市場の役割を果たすという仮説を提示する。ただし,台湾企業にとっても中国市場の開拓は,チャンスもあるが決して容易でもないといわれている。本稿では,自社ブランド展開で成果を収めた台湾企業の事例研究等を通してその実態を明らかにし,中国ファクター活用を通じた台湾ブランド推進の可能性と課題について検討する。