Author | DAI Erbiao |
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Affiliation | Asian Growth Research Institute |
Date of Publication | 2015.3 |
No. | 2014-03 |
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人口高齢化は,世界規模で急速に進んでおり,様々な経済・社会問題をもたらしている。日本は, 1970年に東アジアで他国に先駆けて高齢化社会に突入し,2000年以降は人口高齢化率(総人口に占 める65歳以上人口の比率)が世界で最も高い国になっている(2013年は約24%)。また,近隣の韓国 と中国においても,日本並みまたはそれ以上の速度で少子高齢化が進んでいる。こうした人口構造 の変化は,どのようなメカニズムで発生しているのか,少子高齢化は各国の経済成長にどのような 影響を与えているのか,各国はどのような対策を講じているのか,これらの問題に対して,日中韓 三国のいずれにおいても,関心が高まっている。21世紀の東アジア諸国の経済成長と社会保障シス テムの持続可能性は,人口高齢化の行方に大きく左右されると見られる。本報告書は,公益財団法 人アジア成長研究所(AGI)の研究プロジェクト「東アジアの人口高齢化:発生メカニズム,経済 影響と各国の対策」(2014年度実施)の研究成果である。本研究プロジェクトの目的は,東アジア諸 国(日中韓)の人口高齢化の実態,発生メカニズム,及びその経済への影響を分析するとともに, 各国の関連対策と実際効果を考察し,今後の対応策のあり方について再考することである。
本報告書は,3章から構成されている。第1章では,日本人口の年齢構造の変化,発生要因を考察 したうえ,10年ごとのパネルデータ(1980~2010年)と固定効果モデルに基づいて,少子高齢化に 伴う人口の年齢構造の変動による地域経済成長(一人当たり域内総生産伸び率)への影響を検証し た。第2章では,韓国の人口高齢化の動向を考察したうえ,地域別パネルデータを用いて人口高齢化 による韓国の地域経済成長への影響を分析した。第3章では,中国における人口高齢化の実態と発生 要因を分析し,最近の関連対策とその効果を考察した。各章には内容的にさらに充実すべき部分が 若干残っているであろうが,関連分野の研究者や政策担当者のご参考になれれば,幸いである。