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東アジアにおける環境政策の効率性評価に関する研究: クアラルンプール市、広島市、上海市の CVM 調査および

Author Shunji Matsuoka, Kenji Takeuchi, Reishi Matsumoto, Hiroaki Shirakawa, Daisuke Niibuchi
Date of Publication 2003. 8
No. 2003-19
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Contents Introduction

本研究は、「東アジアにおける環境政策の効率性評価に関する研究:マレーシア・クアラルンプール・広島市を例に」をふまえ、新たに上海市におけるCVM調査と、東広島市における選択型実験調査を用いて、異なる経済発展段階におけるVSLの評価を行なうことを目的としている。対象としたリスクは先行研究と同様、大気汚染と交通事故による死亡リスクである。

死亡リスク削減の価値の定量的評価手法は、既存のデータをもとにWTPを推計する顕示選好法と、アンケートを用いる表明選好法にわけられる。表明選好法はさらにCVMとコンジョイント分析に二分され、後者は特にペアワイズ型コンジョイントと選択型実験が環境評価に用いられる。CVMは直接支払い意志額を推計する手法であり、研究蓄積が多く、バイアスの存在や回避方法についてかなり明らかになってきている。一方、選択型実験はバイアスの存在や回避方法や検証方法についてまだ明らかになっていない点があるものの、支払意志額のほかに属性ごとのトレードオフも同様に評価することが可能な手法である。

本研究の結論は以下のとおりである。第一に、上海市におけるVSLは大気汚染においては71.7万USドルから132.1万USドル、交通事故のVSLの範囲は88.8万USドルから156万USドルであるという結果が得られた。東広島市における選択型実験を用いた調査では、VSLは大気汚染リスクでは459.7万USドル、交通事故では1,030.9万USドルとなった。第二に、上海市における一人あたりGDPとVSLの比率では、東広島市の大気汚染リスクを除き、Miller(2000)において妥当なVSLとして示された範囲を上回る結果が得られた。第三に、上海市と東広島市のどちらの研究においても、大気汚染リスクのVSLより、交通事故のVSLがより高くなった。この結果は松岡ほか(2002)の広島調査の結果と同じであり、大気汚染のVSLのほうが交通事故のVSLよりも高いというRowlattetal.(1998)の結論を覆す可能性がある。