Author | Yoshihiro Kameyama |
---|---|
Date of Publication | 2004. 12 |
No. | 2004-39 |
Download | 262KB |
近年,公共事業の見直しに端を発して公共投資の評価が広く議論されている。しかし,高速道路,整備新幹線を始めとする輸送インフラの整備は,現実に着々と進められている。日本の都市システムでは,国際分業の進展にともない,都市に展開する製造業(都市産業)は付加価値の高い財の生産に特化するようになっており,その機能(Head Quarter, Plant,R&D)とは関係なく,face to face communicationを重視するようになっている。集積の経済の形成では,face to face communication を媒介として広義の輸送費のはたす役割が大きくなっており,広義の輸送費は輸送インフラの整備は,集積の経済の形成及び都市システムの変容に影響を与えているものと考えられる。本稿では,Charlot and Duranton(2004)のコミュニケーション外部性に関するモデルを拡張して,日本の都市産業における集積の経済とその形成要因としての輸送インフラの影響を分析していく。輸送インフラとしては,道路投資を取り上げることとし,地域内輸送(移動)を担う地域内インフラと地域間輸送(移動)を担う地域間インフラを区別して分析を行った。推定結果から,日本の都市システムでは,1)都市産業の従業者数(就業状態)に対する集積の経済の影響としては,地域特化の効果は全ての業種で有意に正となっており,産業の多様性の効果は化学工業で有意に正,鉄鋼業で有意に負となっていることが示された。2)集積の経済の形成において,地域特化に関して,(機械金属7業種を中心として)地域内インフラの効果は有意に正であり,地域間インフラの効果は有意に負であることが示された。そして,産業の多様性に関して,地域内インフラの効果は有意に負であり,地域間インフラの効果は有意に正であることが示された。